ライフライン寸断を想定した災害時給水訓練

文明社会に生きる私たちにとって電気・ガス・水道はまさに生命線ですが、 ひとたび災害が起こるとこの命綱が一瞬で断たれてしまいます。
中でも復旧に時間がかかるのは水道で、阪神・淡路大震災の際に電気が7日ほどで復旧したのに対し、水道が復旧するのには91日もかかりました。給水や配給などの公助が始まるまで最短3日間(大規模災害なら最短1週間)。それまでは各家庭での備蓄(自助)や地域での助け合い(共助)で生きていかねばなりません。

12月5日(土)花屋敷つつじガ丘自治会では災害備蓄についての防災学習と、ライフラインが寸断したという想定で井戸から水を得る給水訓練を行いました。

★給水訓練資料

 

↓朝10時、自治会集会所で災害備蓄と緊急時の水の確保について説明が始まります。
LINEアカウントのある方はLINEで参加いただき、それ以外の方は集会所に参加し3密を避けるよう実施しました。

 

【防災学習】

ライフラインが止まった時に備えて、普段から飲料水や食料などを備蓄しましょう。
防災のために特別なものを用意するのではなく、できるだけ普段の生活で利用されている食品等を備えるようにしましょう。

参考サイト:
災害に対するご家庭での備え(内閣官房広報室)

災害時に備えた食品ストックガイド(農林水産省)

 

飲料水は1人1日3リットル必要です。正しい備蓄方法を覚えておきましょう。

  • 直射日光や高温多湿の場所を避けて保管する。
  • 水道水をためるときは絶対に煮沸しない。飲むときに煮沸する。
  • 複数の方法で備蓄する(ペットボトル、ウォーターサーバー、ポリ容器など)。

参考サイト:
非常用飲料水は間違った備蓄(保管)方法で飲めなくなるので要注意!(おいでよわが街情報館)

 

【給水訓練】

↓今回の給水訓練では町内2か所の井戸を使わせていただきました。
取材した井戸は水面までの深さが3m15cm。電動ポンプが使えないとの想定なので、女性もがんばって釣瓶で水をくみ上げます。
採水した水はペットボトルとポリ容器に入れてつつじガ丘公園まで運びます。

 

↓採水した井戸水は濁りもいやな臭いもありませんでした。次に簡易水質検査を行います。測定項目はpH、鉄(低濃度)、全硬度、COD、亜硝酸塩の5項目です。
結果はどちらの井戸水もpHはほぼ中性で鉄や硬度の低い軟水でした。
CODと亜硝酸塩も低値だったので、有機物が少なく下水や生活排水の混入もないと考えられました。

 

↓水を消毒します。ガスなどの熱源がなく煮沸消毒が出来ない場合を想定し、今回は発泡性の浄水タブレットを使用しました。
ご家庭で浄水用消毒剤がない場合は、ハイターやピューラックスなどをごく薄く、有効塩素0.1~0.01ppm程度(有効塩素6%のピューラックスなら6万~60万倍希釈)になるよう添加すれば消毒できます。
いずれも消毒薬を入れてから1時間程度待つ必要があります。

 

 

↓浄水用凝集剤(KTパウダー)を使って濁った水をきれいにします。今回の井戸水は濁りがなかったので、泥を加えて濁水を作りました。1リットルの水に対して約0.1gの凝集剤を添加します。攪拌してしばらく置くと濁りが凝集して沈殿するので、上澄みを採るか、ろ過をすれば透明な水が得られます。
※KTパウダーで処理を行った際でも飲み水として使用する場合は殺菌等の必要な処理を行って水質検査等で確認して下さい。

今回訓練に使った井戸は飲用としての検査を行っていないので飲用を推奨するものではありません。あくまで緊急時の水確保の一手段として確認したものです。

当地域は宝塚市の東の端になり目が届きにくい場所です。大きな災害時には地域で協力した初動対応が必要です。常日頃、災害に備えた備蓄が重要で、特に飲料水は複数の手段で確保する必要があります。最近は防災の為に井戸が見直されつつあり、皆さんも機会があれば地域にある井戸の場所と使用できるかなどの確認をお願いいたします。